写真展2発


ども。ここまでネタが写真展ばかりだと流石にどうなのかと思うのですが、やはり写真展です。しかも2連発です。もはや開き直りです。さて、その1発目は御覧の通りに篠山の御大。巨大なパネルが並べられたオペラシティの会場は非常に見応えがありました。来場者も老若男女で多かったし。

篠山氏の評価、まあ世間的にも写真家方々の間でも毀誉褒貶ありますが、私はやっぱり巨匠だと思っています。本当に誰でも知っている。日本人の間では写真家=篠山紀信ぐらいに知られている。その一点においてやはり篠山氏に右に出る者はおりませんし、あとは荒木さんぐらいでしょうか。写真にまったく興味のない層に森山大道という名を問うても知らない人は多いと思いますが(写真に興味のある層にはまったくもって絶大ですけれど)篠山氏の名はなぜかみんな知っている。

芸術的な才能と商業性というのは必ずしも一致しないとは思います。才能はあるけど売れない人、あるいは商業的な才はあるけど芸術的な才能のない人というのはしばしば散見するわけですが、本当に一握りの内の一握りながら芸術的な才がありつつ商業的に成功することが出来る人間が稀に存在します。正直なところ私はその類いの方々を一番尊敬しておりまして、上田義彦氏とか、海外だとAlbert Watsonとかはわりとその類いかなと思うのですが、篠山氏はさて、どうなのか。

芸術的な才能のあるなしというのは、写真であれ、あるいは音楽であれ、時間が経ってみれば確実にわかります。それはもう残酷な程に。ただ、今回の展示で言えばかなり昔の、それこそ三島由紀夫だとかの写真なんかもつい最近撮った作品とともに並べられていたわけなのですが、全然普通に違和感なく見れました。そういうセレクトをしたのかもしれませんが、これは何気にすごいことです。並べられていたのは篠山氏の得意な人物写真を中心にディズニーのスタッフがとにかく大勢で写っている写真や、関取が土俵の周りに勢揃いしたものなどの企画物もあり、なかなかバリエーションに富んだ内容。まあ裸体の芸術性でHerb Rittsみたいなのと比較するのは多少無理がありますが、大衆的な芸術性という意味では間違いなく一級ですね。個人的には、夜に街灯の明かりだけで撮ったとかいう巨大な蒼井優が素晴らしかったかな。


もう一件はワタリウム美術館、「歴史の天使」展。Diane ArbusやらAugust Sanderやらが観れると前日に聞いて、最終日に滑り込みセーフ。日曜日の午前中に今にも雨の降り出しそうな鈍色の空の下、メトロの外苑前駅からiPodでKeith Jarrett「Melody At Night, With You」を聞きながらキラー通りを抜けて会場へと入りMapplethorpeの撮ったモノクロの花を眺めていたら、その状況のあまりの美しさに目眩がしました。

最上階は鈴木理策フロア。気が付くとそこは雪山の中で、殆ど白のグラデーションのみで構成された複数のパネルの先には白い白い風景が広がっていました。実は、学生のときに理策さんの授業は2回ほど潜ったのだけれども。他のことで忙し過ぎて行かなくなってしまったのが、今思うと非常に勿体なかったなあとその当時のことが思い出されたりして。その時に理策さんが手に持っていたクリアファイルには、南方曼荼羅が入っていて実にらしいなあと思ったそんな遠いような近いような昔の話でありました。

各階の壁面には多木浩二氏の美しいコメントが。帰りにワタリウムの地下の書店に寄ったら、ちょうど氏の著作の「ベンヤミン 複製技術時代の芸術作品精読」が目に付いたので買ってみました。なかなか良さげなので、朝の電車の中ででも読んでみようと思います。


それにしても、George Gershwinって偉大だよねえ… こんな曲作っちゃうんだから。

篠山紀信展 写真力

Albert Watson

Herb Ritts

歴史の天使 展

Diane Arbus

August Sander

Robert Mapplethorpe

鈴木理策

南方曼荼羅

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