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Loveless

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よく晴れた日曜日の昼下がり、紅茶と一緒にGranny Smithのヨーグルト&紅玉アップルパイを食したりする。実に平和でいい。 そして先日ようやくリマスターが出たMy Bloody Valentine「Loveless」を流しつつ、愛の歌はこれほどまでに世の中に溢れているというのにそれらの多くはあっという間に朽ちて跡形もなく消え去ってしまうのに対して、愛のないことを奏でる歌は20年経っても30年経ってもまるで古びないというのも、実に皮肉なことであるなあと思ったりする。やはりこれは紛れもない歴史的傑作。苗場で見ておいて良かった。 右上は今月出たRufus Wainwrightの新作「Out of the game」。ジャケットで彼の持っている杖はAlexander McQueenのものですね。すごく似合う。母親が亡くなったことがモロに影響したピアノ弾き語りの前作とは打って変わり、いつものポップなルーファス。とはいえ今作のプロデューサーはMark Ronson、表向きはポップながらも凄まじい才能と才能の鬩ぎ合いが見え隠れする。というわけで出来としては当然文句の付けようのない出来ではあるのだけれど、なんかちょっとエグ味というか、毒気が足りないような気もする。すごくリラックスして聞けるし、ずっと聞き続けるとは思うんですけども。 ルーファスの真髄ってこういう複雑にして天衣無縫なメロディ展開にあると思うのだけれど、それがどうも今回は薄いのかな。彼に関しては基礎となる水準が高過ぎるのでそれ以上を求めてしまうのは仕方ないところではあるけども、最早異次元を提示されないと納得ができない。しかしなんか少し前にLeonard Cohenの娘がルーファスの子供を生んだとのことですが、これまたものすごい組み合わせ。一体どんな子供になるのやら。末恐ろしいことです。 Granny Smith http://grannysmith-pie.com/

Maison Deux Montille

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このところワインを飲んでいなかったというわけではないのですが、特筆する程のものはなかったということでやや久し振りな感じです。 今日のワインはMaison Deux Montilleというボーヌに400年の歴史を持つモンティーユ家が、2003年に新しく始めたネゴスのAC Bourgogne赤。3000円台後半でACにしてはやや高めの値付けですが、なんか「いいピノノワールを飲んだ感」がありました。兄妹の妹さんの方、Alixさんが主に醸造を請け負っているようなのですが、女性の造り手ということもあってか繊細ですごく上品で、クリーンな味。(これは兄の方が作っているとかいう情報も見ましたけど)とはいえこの手のワインにありがちな物足りない感じもない。派手さはないけど程好いバランス、飲みやすいので女性の方が好みそうな味ではあります。09ですから、今飲んでおいしいですし。 上の樽の赤を是非、一本寝かせておきたいですねえ。数倍の値段がする著名な造り手のワインと比べても、おそらく遜色はないはずです。ただどちらかといえば白の方が有名なのかな。Meursaultとかもあるようなので、機会があれば飲んでみたいですなあ。

Thomas Demandに会ったりする

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トーマス・デマンドで検索するとわりと上位に坂井真紀さんのBlogが引っ掛かりました。これ。 http://sakaimaki.jp/blog/5568 好きなのか。意外ですな。今回の企画展に合わせてわざわざデマンドさん本人がいらっしゃるということなので、行ってくることにしたのだけれども、なかなかデマンドなんて知っている人間は少ないのではないか、人、集まるのか? と思っていたら甘かった。開場30分前の時点で定員200名に対して軽く100人以上は列をなしていました。しかもなんか外国人の姿もちらほら、海外の方が人気高そうだもんねえ。日本人もなんか心なしかその多くから芸大生とか芸術学系の院生とかそんな風な感じが醸し出されていたり。 画像の位置の良席を確保してしばし待つ。席に座り切れなかった人たちにはクッションが配られ、彼らは床に腰掛けていました。こんなに人気があったとは。さてそれでは、トークの開始であります。登壇者は企画者及びチーフキュレーターの長谷川祐子さん、わりと有名人な方ですね。通訳は横田佳世子さん(彼女はTillmansが来日時にトークをしたときも通訳をされたようです)で、デマンド自身の語り口もジョークを絡めながらではあったのだけれど、その雰囲気も巧く訳している感じ。横田さんが独特の間を持っていてこれがかなり面白い。 トークの内容をここで細かく列挙することは面倒なのでいたしませんが、話を聴いていて思ったのはそもそもThomas Demandという人は正確には写真家というよりは現代美術家と言った方が正しいのかなと。どうもDüsseldorfは出ているけど、実際にはBecher-Schuleではないらしいし。彼の写真というのは、基本的に彼の手によって作られたペーパークラフトを記録したものなのですね。本当にリアルな椅子とか、実は全部が紙で出来ている。米国大統領執務室から美術館内の事件現場、さらには福島第一原発の制御室に至るまで、インテリアと彫刻を学んだ経験からとんでもない技術と労力を費やして(ほんとよくやるわ…)終いにはハリウッドのスタッフを動員してそれでアニメーションまで作り出すのだから恐れ入ります。それが今回の新作、”Pacific Sun”で、大嵐に遭遇した豪華客船の内部を監視カメラがとらえた映像(Youtube等でも流れた)を再現しました、

Betjeman & Barton

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先日ちらっと触れたこの紅茶ですが、後日になってどうしても飲みたくなり丸の内まで行って缶を購入。今回買ったのはC'est une belle histoire(ベル・イストワール)で、ブラックティーベースにベリー系の華やかな感じと青い花びら(睡蓮かな?)から薫る見事な芳香。最近は帰ってきては紅茶を一杯入れてまったりするのが習慣に。いやー、いいわ。癒されるわ。ワインより全然お金も掛からないし(笑) フランス語でhistoireは字面から考えると「歴史」を意味するように思われがちですが、英語以外の多くのヨーロッパ言語においては歴史を意味する語は同時に「物語」を意味します。ドイツ語のGeschichte(ゲシヒテ)、イタリア語のstoria(ストーリア)、スペイン語のhistoria(イストーリア)、等々。(ちなみにフランス語、イタリア語、スペイン語においては基本hは発音しません)なのでこの場合は「美しい物語」という意味ですね。寧ろ英語ぐらいなものなのでしょうか? この2つがhistoryとstoryに分化している言語は。ロシア語のистория(イストーリヤ)にも両方の意味がありますし(→コンサイス露和)そうするとスラヴ諸語もあまり分化していないものと考えられます。つまりは、西洋文化圏において歴史とは恐らくは多くが詩人などの口伝によって物語られるものであって、その両者は不可分であったというようなそのようなお話でした。たぶんですけどね。

Esperanza Spalding

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凄い。チェックするのが遅いですが、ジャズの未来は彼女の手の中にありますね。いや、本気で。一体何ですかね? この有り余る才能は。しかし天才というものは僅か数秒で知覚できるものなのだということに驚愕。スペイン語の歌詞がまた素敵。 ちなみに、スペイン語の発音の基礎知識をば。zの発音は基本濁りません。なので彼女の名前もエスペラン「サ」。jはハヒフへホの段なのでmojitoも「モヒート」でしょ? llはスペイン本土だとリャリュリョの発音が主流なのですが、地域によってはジャジュジョと濁ります。従って、paellaもパエーリャだったりパエージャだったりします。南米のスペイン語だとジャ系が多いのですが、チリの方とかだとリャ系だったりするので、ほら、ペルーのVargas Llosaもバルガス・リョサだったりするわけでございます。 では、あんまり長いとウザいと思うので今回はこれぐらいにしておきますね。 Esperanza Spalding http://www.esperanzaspalding.com/