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iPad買いました

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これ程までに極楽感のあるアイテムだとは思いませんでした。今更ですが、先月末にauから発売になったばかりの第4世代 iPadを発売日の翌日に入手。これが実にいい。デバイスとしての完成っぷりが素晴らしい。というわけで、一ヶ月近くいろいろといじくってみた上での感想を書きたいと思います。契約したのはcellular版64GB、RetinaディスプレイかつLTE対応。なにしろ最新。当然ですが画面はめっちゃ綺麗ですし、CPUもiPhone 5のA6よりもさらにグラフィックチップのコア数の多いA6Xで全くストレスなし、バッテリーもすごく長持ちしますし(相当に使いまくってもフル充電で一日持たないということはまずないです)LTEも噂通りに速っーでありまして、何ら文句の付けようがありません、以上! でもいいとは思うのですが、これを買ったことによってどのような変化が起きたのか具体的な事例をいくつか。 •雑誌とコミックを買わなくなった オンラインでダウンロード販売されている雑誌とコミックに関しては買う必要がほとんどなくなりました。写真や美術系の雑誌、かろうじてファッション誌などは主に大きさの点で紙の方がいい場合もあるとは思いますが、ライフスタイル誌、グルメ系とかのカタログ系の雑誌に関してはこれで十分ですね。むしろ、えーとこの間雑誌で見たあの店ってどこだっけ? みたいなときにそれが手元の端末にすべて入っている、というメリットは非常に大きいと思います。価格も若干安い場合が多いです。コミックに関しても、ちょうど青年コミックを見開いた状態の大きさに近いため非常に見やすいです。iPad miniとの大きな差はここですね。miniの場合、読書コンテンツを片面だけ表示させる分にはほとんど不足はないと思います。ただ、見開いたときの迫力に欠ける点は否めないですし、雑誌のビューワーとしてはちょっとつらいかなと。これは通常のiPadの大きさでも、紙と比べるとまだ小さいと感じるぐらいですしね。あくまで個人的な意見ではありますが。 •iPod TouchがWeb端末子機になった でかい方が見やすく、そして押しやすい(iPhone 5を予約までして結局買わなかった理由はこれが大きく、あの大きさだとわりと私は押し間違えていらいらします)のは確かですが、満員電車の中等では流石に出しにくいです。解決策

男の肌を考える

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頬に生える髭が時折悪さをして炎症を起こすことがあり、最近その頻度が上がってきたため近所の皮膚科へ行って「どうにかなりませんか」と言ったところ、以下のような答えが返ってきました。 ・T字のひげ剃りはあかん。肌に良くない。今日の帰りにでも電器屋へ行って電気シェーバーを買って帰れ。即チェンジ。 ・朝晩洗顔。安いのでいいからちゃんと洗顔料を使って。洗顔石鹸がベスト。 ・その上で塗り薬ぬれ。ちょっとステロイドも入ってるけどよく効く。炎症を抑える飲み薬も出しとくから朝晩飲め。 ・あと、ウチじゃやってないけど外科行ってさっさと脱毛。間違ってもエステじゃなくて、美容外科で。 とはいえ電気シェーバーはなあ。好きじゃないんだよなあ。そこそこ高いのなら剃り心地も悪くないのかもしれないけど、調べてみたところ大体15000〜30000円ぐらいな感じか。2〜3年で買い替えるとして定期的な刃の交換やらシェービング剤やら何やらのランニングコストを計算してみたところ、結構な出費。うーん、痛い。とはいえ全部脱毛するのもどうかという気もするし、T字を継続する方向で考えてみました。で、まあカミソリ負けしなきゃいいわけだ。要は。ということでいろいろと調べてみた結果。 これを買いました。CLINIQUEのcream shave。クリニークなんつったらいかにもお高そうなイメージですが、定価は3000円ぐらいのものがネットの通販サイトを探せばわりと安く買えます。実際に使ってみたら流石にまったくカミソリ負けせず、なかなかいい感じ。あとは石鹸を使ってがしがし洗顔しつつ、T字の刃(もちろんGilletteの5枚刃です)もわりと高いけど、なるべくこまめに換えるようにすればトラブルなく過ごせるかな。 しかしシェービングクリームはまだしも乳液だのまでこのクラスのものを買おうとするとネット通販ですらまだまだ高い。ちょっと買う気はしない。まあ、男の肌も何気に結構お金が掛かるという、そういうお話でした。 CLINIQUE http://www.clinique.co.jp

人を撮るということ

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ほんの数日前に、職場の飲み会で私の向かい側でちゃんこ鍋をつついていた人が交通事故で突然亡くなるという事件が起きる。はっきり言って、何の実感も湧きません。まだ20代の女の人で、とてもそんな痛ましい死に方をしなければならないような人には思えなかったのだけれど。こういうときって何も、言葉が浮かんでこないものなんですね。 ただ一つだけ確かなことは、どうにも仕様がないということ。時間は遡らない。どんな科学も、ただ無力なだけ。人って余りにもあっさりと死んでしまうものなのだなと、今更ながらに思います。せめてきれいに写真でも撮っておいてあげていれば多少は慰められたかなと思わなくはないのだけれど、でもそれは所詮写真でしかないという気もするし、何の意味もないのかもしれないと思ったりもします。 そんなことを考えていたらなんとなく、Gallery 916へと足が向いていました。有田泰而「First Born」展。すでにオープニングのレセプションのときにも一度行っているのだけれど、身近な死を前に「人を撮る」ということの意味を、その名の通りに人が生まれるまでの一連の光景を収めた作品を再度見つつ考えたくなったのでした。 有田泰而氏は今現在においては正直あまり有名な写真家ではないですが、上田義彦氏の師匠であり、一時期はかなり著名な写真家であったとのことです。主に1960年〜70年代にかけて商業写真家として活躍した後にあまり写真を撮らなくなり、アメリカの田舎へ隠遁して絵画や彫刻を制作し続け、昨年70歳で亡くなったとあります。 やや不思議な、厭世的な雰囲気も漂う人物感。そんな印象でしょうか。上田さんは弟子の時代に師匠の目を盗んではこっそりと今回展示された作品を見ていたらしいのですが、昔から相当に気に入ってらっしゃったようで。亡くなったことを機に有田氏の奥様が回顧展をやりたいと思い他の方と話を進めていたところ、そのことを知った上田さんは「この作品をこの世で一番愛しているのは自分だから、私にできることであれば何でもやらせてください」と言ったとか。 http://www.1101.com/ueda_yoshihiko/ 詳細に関してはこちらを見ていただいた方が早いかな。秀逸な記事です。 思ったのは、これらの写真に写っているのは「死」ではなく「生」ではあるけれども、ただこれらの光景も

写真展2発

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ども。ここまでネタが写真展ばかりだと流石にどうなのかと思うのですが、やはり写真展です。しかも2連発です。もはや開き直りです。さて、その1発目は御覧の通りに篠山の御大。巨大なパネルが並べられたオペラシティの会場は非常に見応えがありました。来場者も老若男女で多かったし。 篠山氏の評価、まあ世間的にも写真家方々の間でも毀誉褒貶ありますが、私はやっぱり巨匠だと思っています。本当に誰でも知っている。日本人の間では写真家=篠山紀信ぐらいに知られている。その一点においてやはり篠山氏に右に出る者はおりませんし、あとは荒木さんぐらいでしょうか。写真にまったく興味のない層に森山大道という名を問うても知らない人は多いと思いますが(写真に興味のある層にはまったくもって絶大ですけれど)篠山氏の名はなぜかみんな知っている。 芸術的な才能と商業性というのは必ずしも一致しないとは思います。才能はあるけど売れない人、あるいは商業的な才はあるけど芸術的な才能のない人というのはしばしば散見するわけですが、本当に一握りの内の一握りながら芸術的な才がありつつ商業的に成功することが出来る人間が稀に存在します。正直なところ私はその類いの方々を一番尊敬しておりまして、上田義彦氏とか、海外だとAlbert Watsonとかはわりとその類いかなと思うのですが、篠山氏はさて、どうなのか。 芸術的な才能のあるなしというのは、写真であれ、あるいは音楽であれ、時間が経ってみれば確実にわかります。それはもう残酷な程に。ただ、今回の展示で言えばかなり昔の、それこそ三島由紀夫だとかの写真なんかもつい最近撮った作品とともに並べられていたわけなのですが、全然普通に違和感なく見れました。そういうセレクトをしたのかもしれませんが、これは何気にすごいことです。並べられていたのは篠山氏の得意な人物写真を中心にディズニーのスタッフがとにかく大勢で写っている写真や、関取が土俵の周りに勢揃いしたものなどの企画物もあり、なかなかバリエーションに富んだ内容。まあ裸体の芸術性でHerb Rittsみたいなのと比較するのは多少無理がありますが、大衆的な芸術性という意味では間違いなく一級ですね。個人的には、夜に街灯の明かりだけで撮ったとかいう巨大な蒼井優が素晴らしかったかな。 もう一件はワタリウム美術館、「歴

SALUMERIA 69

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来ちゃった♡、っていうか。先日、新宿伊勢丹でイタリア展をやってまして。そこにPaolo Parisiさんという有名な養豚家の方がいらしていて、何でもイタリアに3頭しかいなかったチンタ・セネーゼなる超稀少な古代種の黒豚を飼育して復活させたという、半ば伝説的な人物らしいのですが(あと卵で有名)そのような話を聞いて私も伊勢丹まで買いに行ったものの、行ったときにはすでに生ハムは完売でサラミしか残っておりませんでした。 チンタ・セネーゼのサラミももちろんおいしかったのですが、なんかこうもやもやした感じが晴れず。したらばということで噂のこちらの店へと中目黒から自転車で行ってきたわけです。最寄りは成城学園前ですが、住所は調布市。駅前から結構歩くらしかったし電車代に往復1000円掛けるのならその分ハムに回した方がと思ったわけで、ちょっとうっかり狛江市に入ったりしつつ1時間程で到着。まあ正しいルートを通れば片道40分ぐらいですね。 私の前に来たおぢさんは、20分程も掛けて(もちろんお客さんが来てからカットするので)サラミやら生ハムやらあれやこれやを27000円(!)分買って、画像の左のタクシーで帰っていったという。呆然ですわ。イタリア展の際にパオロさんの生ハムをレストランで食べようっていうイベントをやっておりまして、そのときにそのハムをカットしに来てらしたのがこちらの店の方だったらしいのです。でそのときの話なんかを多少聞いたりしつつ、100gで6000円とかいうよくわからない値段のネロ・パルマ24ヶ月熟成を、家から持って来た皿に「3000円分盛ってください」と頼んで盛ってもらいました。いやはや、A5ランクの和牛が買えますな。もちろん100gで1000円台のハムとかも置いてありますけど。 「パオロさんの生ハムはどうだったんですか?」と聞いたら、「いやー、やっぱりあれは別格だった、すごかった」とのこと。「まあエネルギーのベクトルは違うけど、これもおいしいですよ」と買った生ハムをその場で一枚味見させてくれたんですが、なんかパルミジャーノ・レッジャーノの味がしました。もちろんチーズが掛かっているわけではないんですが、どうも餌に多少混ぜてあるようです。チンタ・セネーゼ程ではないものの、ネロ・パルマも2003年の段階で100頭程しかいなかったとのことで現在でも1000頭程度、十

さらに写真展へ

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ガーデンプレイスGRANOのワンプレートランチ。恵比寿に行くとわりといつも食べてしまう。まだ行くかって感じですが、立て続けに東京都写真美術館へと、操上和美展を観に行って参りました。 先日ミッドタウンでやっていたTokyo Photo 2012も当然行って、Inez Van Lamsweerde and Vinoodh Matadinももちろん良かったですし、Steven Meiselのオリジナルプリントも初めて見れましたし、やっぱりマッギンレー別格だわとか、横須賀功光スゲーとか松江泰治氏の作品はすごくよく考えられてるよなあとかも思ったんですが、最近見てもっとも心を射抜かれたのはどれかと問われれば迷うことなく操上和美氏の作品と答えます。 会場に入ると、まず目に入るのはやや荒めのモノクロのパネル。何でもおもちゃカメラで撮ったとかで。それが会場の半分ぐらいを占めていました。何と言うか、綺麗な写真というのはある程度の機材を揃えて訓練を積めば、それなりには撮れるようになるとは思うのですよ。ただこの類い、見たこともないのに何故か懐かしいような、ただ美しい記憶を想起させるような、そういう写真を撮れる人間というのは、極めて稀だと思います。 写真では他に思いつかないかな。視覚芸術という範中で言えば、私の知っている限りでは高木正勝氏の作品ぐらい。政治的主張とか強烈な意思とかは特に感じられない、ただひたすらに美しいだけの作品。例えるのならば、道ですごくきれいな人と擦れ違って、もう二度と出逢うことはないんだろうなと思いながらもその顔もはっきりとは思い出せなくて、でもすごく綺麗な人だったという余韻だけは残っている、なんとなく刹那いような、そんな淡い儚い記憶。それが写っている。 ただノイジーならそんな写真になるかといえばそうではないんですよね。森山大道さんの写真にそんな感想は持たないですもん。両者の一体何が違うのか、そう問われても、答えられない。こういうのって教育でどうなるというものでもないですよねえ。自分の感覚で捉えるしかない。 さて、次は篠山紀信展かな。 操上和美 時のポートレイト http://www.syabi.com/contents/exhibition/index-1653.html 操上和美 http://www.kurigami.net

Alejandro Chaskielberg

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とくにホームページとかでは何の告知もなかったのですが、「実は本人来るんですよー」っていう話を前回のRalph Gibsonの展示のときにGallery 916のスタッフの方に聞いていたもので、ちゃっかり行って来ました。Alejandro ChaskielbergのHigh Tide(満潮)展、展示初日。ギャラリー内で御本人をお見掛けしたら、ドレッシーな青シャツの好青年風(といっても35か?)にNicole Kidmanみたいな美人の嫁さんと、まさにというか、玉のような赤子を伴ってらっしゃいました。えーと、読めませんか。アレハンドロ・チャスキエルベルグ、ね。 彼は2011年にSony World Photography Awardsという世界最大級の写真賞、えー、以下を http://www.dailymail.co.uk/news/article-2095791/Sony-World-Photography-awards-shortlist-2012-provides-real-challenge-eye.html 御覧の通りに超絶ハイレベルな中をPhotographer of the Yearを受賞したというアルゼンチン、Buenos Aires出身で77年生まれの若手、先日のRyan McGinleyに続きこちらも、今もっとも旬な写真家なのは間違いありません。いやー、ほんと今月は充実しているな。 何やら聞いた話によると、彼の写真は基本的に月光で何分も露光させて撮るという。風景写真でそんなのを撮る人は日本人の写真家でいた気がしますが、彼の場合は写っているのは人であります。一体どうやって撮るので? と思うのが普通でしょう。どうやって撮るのかは916の方から、伺ったら普通に聞けました。なんとポジを使用。4×5(Sinarらしい)で、手前の人物だけフラッシュを焚いて写して、あとは長時間露光で背景を写し込む。それを現像の後にフィルムスキャン、で、たぶん多少いじってからラムダで出力、らしい。と聞いて、技術的には真似出来なくはないとは思うのだけれど、途方もない手間が掛かるのは間違いないので私は御免ですわ。長時間露光によるものか、ライアンとは別のベクトルの特徴的な色、とくに空の蒼さとか黒人の肌の黒い煌めきとか(これは実際見ないと文章では伝え

Reach Out, I'm Right Here

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今現在ヒカリエの8/ ART GALLERYでも展示されている、Ryan McGinleyの作品。音楽が小さくしか掛かっていなかったので、Francesco Tristanoの「idiosynkrasia」をiPodで聞きつつ眺めていたら、かなりのシンクロ感があって素晴らしかったので書いておくことにします。#5 Fragrance De Fragaあたりが実にいい。 ライアン自身は相当なロック好きのようで(Morrisseyのファンらしい)、ヒカリエと同時に作品展が開催されている清澄にある小山登美夫ギャラリーの方で行われたオープニングレセプションでは、彼は入ってくるなり これを置き、フロアにはdiptyqueの苔の香りとともに(キャンドルの方はギャラリーに元からあった)流れるロック・ミュージック。しゃれおつですな。この辺の感覚がいかにもアメリカ人。彼の写真を私が最初に意識したのは、今は無きEsquire日本版の2005年2月号の表紙。それが今や、世界で最も旬なフォトグラファーと言ってしまっていいでしょう、しかもこのまま行けばTillmans以降の最重要人物として歴史に名を残すことがほぼ確定的。経歴は検索を掛ければすぐに出てくるので書きませんけれど、超イケメンだわ、背高いわ(たぶん190cmくらい)、Parsons出とるわ、ご覧の通りのとんでもない写真のセンスを持っとるわで、なんかもう腹立たしいぐらいにいろいろ揃ってらっしゃいます。 彼の写真というと裸体が何かと意識されがちですが、個人的には最も特徴的なのは圧倒的な「色」。色に支配された写真。それもニュー・カラーのそれとは違うし、蜷川実花的なある種の毒々しさを持った色とも違う。何か新しい感じがする、やや不思議な色の感覚。 あと意外と、人を遠方から撮った表現を好むんですよね。 http://vimeo.com/46501170 ↑これとかまさにそうなんですが、本当に彼がケタ外れの才能を持っているということがよくわかる動画。普通この曲調でこういう動画は撮らないし、撮れない。街中で少女? がスキップをしているというだけなんですが、カットの一つ一つがものすごく良く出来ていて驚きでした。間違いなく近年のベストMV。そのうち映画とか撮り始めるかもしれないな。(なんか実際

ステュクスの河で

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よくよく考えてみれば、人生のうちに夏は数十回しかやってこない。さらに言えば10代とか20代あたりのプレシャスな感じの夏はそれぞれ十回しかない。にも関わらず、今年も無為な感じで過ごしてしまったなあと思います。ま、フジロックに行ったりはしたけども。 あと今年はヘンな場所に行ってきました。↑これね。外郭放水路ってやつですわ。さいたまの方で低地になってて洪水の起きやすい地域があって、それをどうにかするために川4本の横切るように地下をシールドでブチ抜いて人工の川を造ったわけです。予約すれば誰でも入れるんですけど火曜から金曜の間しか受け付けてないので、こんなときしか行けないと思ってお盆に予約を入れておいたのでした。8月15日に三途リバーに行くたあ乙なものですな。ただ入り口が、春日部からさらに野田線に乗り換えて駅から歩いて数十分。周りに田んぼしかないようなところまで行かねばならない。バスすらほぼない。 こんな感じ。辿り着いたときには汗でダクダク。施設の館内で仕組みの説明があった後、外にある階段から地下へ。地下はさすがに涼しい。前の日にかなりの降雨があったため稼動したらしく、地面には水がわりと残っていました。毎回、水とともにかなりの土砂が流れてくるそうで掻き出すのが大変そう。まあおもしろかったと言えばおもしろかったのだけれど、見せてくれるのは調圧水槽と呼ばれる部分のごく一部のみなので撮れる写真はほぼ限られます。地下にいる時間も10分程度しかないということで家から2時間半ぐらいかけて行ったことを思うとやや微妙という気もしました。取材とかで行く分にはもう少し見られる部分が増えるらしいのだけど。そんな夏の思い出でした。 首都圏外郭放水路 http://www.ktr.mlit.go.jp/edogawa/project/gaikaku/frame_index.html

Everything in its right place

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このところ土曜も日曜も問わず働き詰めだったので、この盆の間の数日は本当に何もせずに惚けております。しかし、時にはこんな時間の遣い方も悪くない。 なんか別に誰も読んでいないような気がして(Τὰ εἰς ἑαυτόν=己に向かって なので構わないのだけれど)このBlogもかなりサボっておりました。先月の末に行ったものを今更書く始末。では簡単に苗場のRadioheadの感想をば。 とりあえず混み過ぎね。コステロ(すごいカッコイイおぢさん)の演奏の時点でかなり混んでて、その演奏の終了とともに前に詰めたものの上の写真ぐらいの位置が限界、しかも全く身動き出来ず。わかってはいたけど大人気ですなあ。グリーンステージ超満員。でも苗場とラジオへっどの組み合わせはどうしても観たかった。演奏に関しては申し分なし。いつも通りな感じでソツなし。トム様の声の調子も抜群、音響に関しても野外ということもあってか、前に見た国際フォーラムよりもさらに良かった印象。うん、苗場ぴったりね。 久し振りに生で聴いていて思ったのは、本当に一曲一曲のクオリティが高い。そして無駄がない。ああいう曲展開ばかりだと難解でござい、みたいなライヴになりそうなもんだけどむしろキャッチーなぐらいに聞こえるこの不思議。僅かな不満点は、Fake Plastic Treesを聴きたかったかな、ぐらい。あとKing of Limbsは名盤ね。RadioheadってCDで聴くとそこまでという感じの楽曲も生で聴くと非常に映える場合が多いのだけれど、今回もそれに違わず。陽水も、Jack Whiteも勿論すごく良かったのですが、この日の個人的なハイライトは文句なしにRadiohead「Separator」でした。なんというか異次元から聞こえてくるかのような、静かだけれど猛烈な音の波。あの感覚はなかなか他では味わえない気がします。 というわけで、今の気分に歌詞もぴったりなSeparatorを聞きながら、もうしばらく惰眠を貪ることにします。おやすみなさい。

Valtari

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夜の帳の降りた激しい雨の音が響き渡る中目黒を、Sigur Rósの新譜をiPodに入れてヘッドホンで聴きながら歩いていたら「嗚呼、この世は終わるのだなあ」という気分になりました。渋谷のクラブで夜明けまでゴリゴリのテクノを聞き倒した帰りに「チカラめし」に入って、隣のいかにも渋谷によく居るよーなパッサパサの茶髪の二十歳ぐらいの少女2人組からその擦れた声に乗せて、もう本当に心の底から「くだらないなあ」と思えるようなアホな会話が聞こえてきた時のあの退廃感に満ち満ちた空気にも似た。いや、明日も変わらず仕事っすけど。 ちょっと初期の雰囲気に戻ったかな。希望の歌を歌っているのだけれど、相変わらず実際はどこまでも絶望しているように聴こえる。少なくとも私には。いつもながらなんか彼らの音楽はちょっと強烈過ぎるというか、深いところまで入り込み過ぎているというか。 フランスとかドイツとかギリシアの哲学に触れてみて思ったのだけれど、あまり本質的なことに突っ込み過ぎるというのは、果たして良いことなのかどうか。強烈な芸術や思想というものは人の人生をも変えてしまう力を秘めていて、それは良い方にも、また少なからず悪い方にも作用する。Sigur Rósのために人生過った人間って結構居るのではないだろうか、そんな思いに時々駆られたりして。 そこまでは行かなくとも、彼らの音楽が好き過ぎてわざわざアイスランドまで行ってきてしまった女の子が知り合いに2人ぐらいいましたし。なんかAKBとかジャニーズみたいなただ消費されるだけの実の無いものって世の中に流通させるものとしては、それはそれで健全なのかもしれません。実際に、並の頭の人間が西洋哲学などに入り込み過ぎると、本当に精神が壊れてしまいますので御注意あれ。(もっとも東洋哲学はもっと深いとの噂。) http://www.sigur-ros.co.uk/valtari/

Domaine Marcel Richaud

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美しいロゼ。濃過ぎず、薄過ぎず。芯はあるけどそこまで主張してこない。上品にして華麗。 いくつか造り方はあるのだけれど、ロゼというのは基本的に赤ワインを作る際にできる副産物なので(濃い赤を作ろうと思ったら果皮と触れる方が当然濃くなりますよね? なので果汁の部分を先にある程度抜いてしまうわけです。それがロゼ)値段も安く、合わせるものも選ばない。ちなみに骨付きの羊を焼いたのとか、相性抜群。サラダもいい。でもま、この造り手のロゼは私も初めて見掛けたぐらいですから、生産量は極少でしょうな。わりとキンキンに冷やしていい感じです。

Mnemosyne-Atlas

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久方振りの駒場。何故かArmaniのスーツを着て。 目的はこれでござった。ああもうこの夥しい感が堪らない。Aby Warburgの著作集別巻1「ムネモシュネ・アトラス」の発刊を記念してのシンポジウムの開催に伴って田中純先生の講演が行われ、それを聴いてきたのでした。しかし一冊24000円するのよね、あれ。講演前に駒場生協書籍部の店長さんに聞いたら「一冊売れたかなあ」と仰ってました。お膝元ですらそんなもんです。私? 勿論持ってませんよ。そのうち買うとは思いますけど。それより何すかこの結界はっつー話ですが、これはヴァールブルク自身の手による http://www.flickr.com/photos/dzsil/sets/72157604478323042/ を再現したものらしく、今回の為にわざわざ作ったそうです(助手の方が。) 他のシンポジウム参加者は件の著作の共著者でもある伊藤博明氏に加藤哲弘氏、 http://sucra-rd.saitama-u.ac.jp/search/profile.do?lng=ja&id=uFnCZVSp http://web.kyoto-inet.or.jp/people/katotk/ コメンテーターに見るからに東浩紀な系統の足達薫氏、 http://www3.plala.or.jp/kaorupig/ 上村清雄氏 http://www.l.chiba-u.ac.jp/ja/instructor/detail/209/ 木村三郎氏 http://homepage3.nifty.com/saburo-kimura/ といった美術史家の御三方、に 三中信宏氏 http://cse.niaes.affrc.go.jp/minaka/ という統計が専門、及び生物学史家な方の組み合わせ。 美術史家はともかく何故に統計の専門家がここにいらっしゃるので? といいますと、ヴァールブルクは絵画をテーマ毎に分類を行っていたのですね。でそれをクラスター分析しちゃったらどうなんの、的な解説の為に三中氏は呼ばれたようです。またヴァールブルクは現在では忘れ去られた生物学者、Richard Semonの理論を自身の著作の中に引用しちゃったりしていらっしゃるので、そ

世界の起源

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「Lucian Freudお好きなんですか?」という前々から持っていた疑問を鷹野隆大さんに直接ぶつけてみたのですが。「ああ、まあ好きだけど」「ヨコたわるラフとか、構図も被写体もそのまんまなのがありますけど」「それは偶然だよ」「そうなんですか? 特に意識をしたわけではない?」「いや、意識はしてないねえ」だそうな。意識していなくてあれだけ評価の高い画家と感性がシンクロするというのも、それはそれで凄い話だけれど。 先週の土曜日に、品川から京急に乗って横浜より少し先の井土ケ谷まで行き、駅から5分程歩いたところにあるblanClassというアート系スペースにて行われたトークイベントに参加してきたのですが、それが先の鷹野さんと2008年キヤノン写真新世紀グランプリ受賞の秦雅則さんの対談なのでした。実はもう3回目でして、去年の冬頃から数ヶ月毎に開催されて今回がラスト、私は前2回も参加してきました。たぶん国内で最も変な写真が撮れるお二人。いや、褒めてるんですよ。いろんな人の写真を見ていて気付いたのは、普通の人にはどんなに頑張っても普通の写真しか撮れないということ。不思議なことですけれども。日常に向かってシャッターを押して特異なイメージを具現化できるというのは、それなりに特異な感性が必要なのです。 さて今回はそんなお二人が双方ともに新作を出すということで楽しみにしていたのですが、鷹野さんの方は… クールベでした(笑)なんともコメントしにくい。遂にこれをやってしまわれたか、という思い。色んな意味でエクストリームな新作。いや、流石でした。しかしこれやっちゃったら、次は何処へ行くんだろう? 秦さんの方はと言えば、やはり一見して普通の人間には撮れない写真だと感じました。なんともよくわからない、でも明らかに「普通」ではないイメージ。「昨日の晩までいろいろ考えていた」と仰っていましたが、私が最初に新作を見た印象は「デスマスク?」。草っぱらの中に浮かぶデスマスク、しかもアラブ人的な髭付き、みたいな。話を聞けば数ヶ月前に中判カメラ(6×9って言ってたかな?)を買ったらしく、それで撮ったフィルムを現像したあとアルコールに浸けてしばらく直射日光の当たるベランダに放置しておいたとのこと。で、それを自分で紙に焼いたと。要は腐食させたフィルムを使って作られたらしいんですね。使

Loveless

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よく晴れた日曜日の昼下がり、紅茶と一緒にGranny Smithのヨーグルト&紅玉アップルパイを食したりする。実に平和でいい。 そして先日ようやくリマスターが出たMy Bloody Valentine「Loveless」を流しつつ、愛の歌はこれほどまでに世の中に溢れているというのにそれらの多くはあっという間に朽ちて跡形もなく消え去ってしまうのに対して、愛のないことを奏でる歌は20年経っても30年経ってもまるで古びないというのも、実に皮肉なことであるなあと思ったりする。やはりこれは紛れもない歴史的傑作。苗場で見ておいて良かった。 右上は今月出たRufus Wainwrightの新作「Out of the game」。ジャケットで彼の持っている杖はAlexander McQueenのものですね。すごく似合う。母親が亡くなったことがモロに影響したピアノ弾き語りの前作とは打って変わり、いつものポップなルーファス。とはいえ今作のプロデューサーはMark Ronson、表向きはポップながらも凄まじい才能と才能の鬩ぎ合いが見え隠れする。というわけで出来としては当然文句の付けようのない出来ではあるのだけれど、なんかちょっとエグ味というか、毒気が足りないような気もする。すごくリラックスして聞けるし、ずっと聞き続けるとは思うんですけども。 ルーファスの真髄ってこういう複雑にして天衣無縫なメロディ展開にあると思うのだけれど、それがどうも今回は薄いのかな。彼に関しては基礎となる水準が高過ぎるのでそれ以上を求めてしまうのは仕方ないところではあるけども、最早異次元を提示されないと納得ができない。しかしなんか少し前にLeonard Cohenの娘がルーファスの子供を生んだとのことですが、これまたものすごい組み合わせ。一体どんな子供になるのやら。末恐ろしいことです。 Granny Smith http://grannysmith-pie.com/

Maison Deux Montille

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このところワインを飲んでいなかったというわけではないのですが、特筆する程のものはなかったということでやや久し振りな感じです。 今日のワインはMaison Deux Montilleというボーヌに400年の歴史を持つモンティーユ家が、2003年に新しく始めたネゴスのAC Bourgogne赤。3000円台後半でACにしてはやや高めの値付けですが、なんか「いいピノノワールを飲んだ感」がありました。兄妹の妹さんの方、Alixさんが主に醸造を請け負っているようなのですが、女性の造り手ということもあってか繊細ですごく上品で、クリーンな味。(これは兄の方が作っているとかいう情報も見ましたけど)とはいえこの手のワインにありがちな物足りない感じもない。派手さはないけど程好いバランス、飲みやすいので女性の方が好みそうな味ではあります。09ですから、今飲んでおいしいですし。 上の樽の赤を是非、一本寝かせておきたいですねえ。数倍の値段がする著名な造り手のワインと比べても、おそらく遜色はないはずです。ただどちらかといえば白の方が有名なのかな。Meursaultとかもあるようなので、機会があれば飲んでみたいですなあ。

Thomas Demandに会ったりする

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トーマス・デマンドで検索するとわりと上位に坂井真紀さんのBlogが引っ掛かりました。これ。 http://sakaimaki.jp/blog/5568 好きなのか。意外ですな。今回の企画展に合わせてわざわざデマンドさん本人がいらっしゃるということなので、行ってくることにしたのだけれども、なかなかデマンドなんて知っている人間は少ないのではないか、人、集まるのか? と思っていたら甘かった。開場30分前の時点で定員200名に対して軽く100人以上は列をなしていました。しかもなんか外国人の姿もちらほら、海外の方が人気高そうだもんねえ。日本人もなんか心なしかその多くから芸大生とか芸術学系の院生とかそんな風な感じが醸し出されていたり。 画像の位置の良席を確保してしばし待つ。席に座り切れなかった人たちにはクッションが配られ、彼らは床に腰掛けていました。こんなに人気があったとは。さてそれでは、トークの開始であります。登壇者は企画者及びチーフキュレーターの長谷川祐子さん、わりと有名人な方ですね。通訳は横田佳世子さん(彼女はTillmansが来日時にトークをしたときも通訳をされたようです)で、デマンド自身の語り口もジョークを絡めながらではあったのだけれど、その雰囲気も巧く訳している感じ。横田さんが独特の間を持っていてこれがかなり面白い。 トークの内容をここで細かく列挙することは面倒なのでいたしませんが、話を聴いていて思ったのはそもそもThomas Demandという人は正確には写真家というよりは現代美術家と言った方が正しいのかなと。どうもDüsseldorfは出ているけど、実際にはBecher-Schuleではないらしいし。彼の写真というのは、基本的に彼の手によって作られたペーパークラフトを記録したものなのですね。本当にリアルな椅子とか、実は全部が紙で出来ている。米国大統領執務室から美術館内の事件現場、さらには福島第一原発の制御室に至るまで、インテリアと彫刻を学んだ経験からとんでもない技術と労力を費やして(ほんとよくやるわ…)終いにはハリウッドのスタッフを動員してそれでアニメーションまで作り出すのだから恐れ入ります。それが今回の新作、”Pacific Sun”で、大嵐に遭遇した豪華客船の内部を監視カメラがとらえた映像(Youtube等でも流れた)を再現しました、

Betjeman & Barton

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先日ちらっと触れたこの紅茶ですが、後日になってどうしても飲みたくなり丸の内まで行って缶を購入。今回買ったのはC'est une belle histoire(ベル・イストワール)で、ブラックティーベースにベリー系の華やかな感じと青い花びら(睡蓮かな?)から薫る見事な芳香。最近は帰ってきては紅茶を一杯入れてまったりするのが習慣に。いやー、いいわ。癒されるわ。ワインより全然お金も掛からないし(笑) フランス語でhistoireは字面から考えると「歴史」を意味するように思われがちですが、英語以外の多くのヨーロッパ言語においては歴史を意味する語は同時に「物語」を意味します。ドイツ語のGeschichte(ゲシヒテ)、イタリア語のstoria(ストーリア)、スペイン語のhistoria(イストーリア)、等々。(ちなみにフランス語、イタリア語、スペイン語においては基本hは発音しません)なのでこの場合は「美しい物語」という意味ですね。寧ろ英語ぐらいなものなのでしょうか? この2つがhistoryとstoryに分化している言語は。ロシア語のистория(イストーリヤ)にも両方の意味がありますし(→コンサイス露和)そうするとスラヴ諸語もあまり分化していないものと考えられます。つまりは、西洋文化圏において歴史とは恐らくは多くが詩人などの口伝によって物語られるものであって、その両者は不可分であったというようなそのようなお話でした。たぶんですけどね。

Esperanza Spalding

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凄い。チェックするのが遅いですが、ジャズの未来は彼女の手の中にありますね。いや、本気で。一体何ですかね? この有り余る才能は。しかし天才というものは僅か数秒で知覚できるものなのだということに驚愕。スペイン語の歌詞がまた素敵。 ちなみに、スペイン語の発音の基礎知識をば。zの発音は基本濁りません。なので彼女の名前もエスペラン「サ」。jはハヒフへホの段なのでmojitoも「モヒート」でしょ? llはスペイン本土だとリャリュリョの発音が主流なのですが、地域によってはジャジュジョと濁ります。従って、paellaもパエーリャだったりパエージャだったりします。南米のスペイン語だとジャ系が多いのですが、チリの方とかだとリャ系だったりするので、ほら、ペルーのVargas Llosaもバルガス・リョサだったりするわけでございます。 では、あんまり長いとウザいと思うので今回はこれぐらいにしておきますね。 Esperanza Spalding http://www.esperanzaspalding.com/

色彩の向こう側に

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いやあ、なんというか、一日で究極の芸術にいくつも触れてしまったような。今日は昼過ぎまで働いていて、その後にスーツ姿のまま前から行こう行こうと思って行っていなかった、竹橋の国立近代美術館のJackson Pollock展を観に行ってきました。 本当、実に素晴らしかった。ポロックというとアクション・ペインティングなイメージが強いですが、今回の展覧会は初期作も結構置いてあってなかなか新鮮。なんか初期はFrancis Baconみたいな配色や筆致に感じた時期もあったりして。「インディアンレッドの地の壁画」と「Number 11,1951」がそれぞれ隣の部屋にあるのが見えたときは、背筋にゾゾゾと震えが走り。そらGreenbergも激賞するわっつーハナシですわ。そしてゴヤとかもそうですけれど、いろんな芸術家が最後に辿り着くのはなぜ「黒」なのか、とかいろいろと考えておりました。 ポロックを見て何となく昂っちゃった私は、その足で丸の内の永楽ビルにあるBetjeman & BartonでEden Roseの紅茶をテイクアウトしたり新丸ビルのSanta Maria Novellaで薔薇の香りのする石鹸を買ったりしながら(薔薇の香りが好きなのです)歩いて有楽町イトシア内にあるヒューマントラストシネマ有楽町へ。 そしてチョコレートなぞをつまみつつ、まったりと「Pina 3D ピナ・バウシュ 踊り続けるいのち」を観たりして。強烈な絵画を観てから、究極の紅茶に究極の石鹸、さらにはピナ・バウシュの3D映画。なんと贅沢なことでしょう。映画はサイコーでした。3Dメガネレンタル代を込みで2200円もしましたが、内容からすれば満足です。お客さんもほぼ満席ぐらい、ピナ・バウシュ自身は2006年に国立劇場で一回見たきりで、そのときの演目「カフェ・ミュラー」に「春の祭典」等々が3Dで観られるというだけでも感涙ですが、いや、やっぱりヴェンダースは映画監督として本当にすごいですね。美麗な舞踏が初めから終わりまでひたすら続く。とても素敵でした。あと音楽がまた心地良くて。Caetano Velosoとかね。ピナさんてば、舞踏はもちろんのこと音楽の美というものも完璧に知り尽くしている人だと思いました。無論、ヴェンダースの音楽センスもあっての

In the material world

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なんかモデルっぽい人がいるなあ、と思ったら桐島かれんさんだった。そりゃモデルっぽいわ。モデルだもの。先週の金曜日に今開催されている上田義彦氏の写真展「Materia」を見に行ってきたのですが、この日の夜にかけて上田氏の他にCMディレクター中島信也氏、アートディレクター中島英樹氏、キュレーター後藤繁雄氏といった、視覚による伝達において現在の日本でそれぞれの分野で最先端、かつ頂点に立っているであろう面々が揃ってのトークショーがあるとのことで、それを目当てに会場に入ったらばそこにモデルっぽい上田氏の奥様がいらしたと、そういうことなのです。 その会場がですね(笑)ご覧の通りに、どう見ても倉庫(笑)清澄にあるタカイシイギャラリーとかの入っているアートコンプレックスのような感じです。まさにあれと同じ。ゆりかもめの竹芝駅よりほど近く、私はJR浜松町駅から歩いて行ったのですが、そちらからでもほどほどの距離でした。上の画像の看板にも書いてありますけど、どうやら以前は扶桑社のスタジオだった…のかな? 室内にもよく見れば白く塗られた壁にアールの痕がありましたし。でもって、下の階には操上和美氏率いるpyramid filmが。ここにあったんですね。  さて、中に入るとそこには結構だだっ広い空間がぱかっと口を開けており、壁は前述のように白塗りでちゃんとしたギャラリーの雰囲気です。私は少し早めに会場に入って展示を眺めていたわけなのですが、その作品がですね、上田さんが震災のあとに屋久島に行って撮ってきたという一連の写真で、これがまたなかなかに驚きの内容だったわけでして。 なにしろ、ざーっと眺めてみてそのほとんどの写真の手前側にはピントがきていない。大抵は焦点が合っているのは画像の中頃かやや後方といった感じで、一体どこにフォーカスを合わせようとしているのか判然としない。画像によってはわりと派手にハイライトを飛ばしたり暗部を潰してしまっているものも少なからずあり、これらの写真を写真集に纏めるディレクションを依頼された中島秀樹氏が、「あれ、これって…失っっ敗じゃないの??(笑)」と最初に見たときには思ったという、なんとも上田義彦らしからぬ感じで。 上田さんというとなんかわりとダークトーンで、大判のポテンシャルをフルに活かした細部までの緻密な描写の写真のイメージが強

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あれからもう一年、それとも、まだ一年、か?  数日振りによく晴れた、あれから一年という月日が過ぎた今日、昼間からSignifiant SignifieのパンをつまんだりしながらTierry Puzelatの「蔵」2011を飲んでいます。ネゴスのワインなので一本2000円ぐらい、気楽に飲めて実にいい。この造り手らしいやや濁った白ワインで絞りたてのグレープフルーツのようなお味。ビオ好きにはたぶん最高、特にそうでない人には勧められない、飲む人を選ぶワイン。人間、明日死ぬか10年先に死ぬかは誰にもわからないので美味い酒は飲めるうちに、食えるものは食えるうちに食っておきたいと思います。 Signifiant Signifie http://s-s.shop-pro.jp/

Savennières L'ENCLOS 2009

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Eric Morgatの白を飲んでみました。…しかし、最低でも週に1本はワインを飲まないと、もはや耐えられない体になってしまったのは残念なことであるなあ、とふと考える。ワインに掛けている金額を考えるともうとっくに高〜いガラスの塊みたいなレンズとか、ハイアマチュア向けのデジタル一眼くらい買えてないとおかしいのであります。まあ、 であればこそ値段が控えめで、超弩級に愉しめる味わいのワインをマニアックに探しているわけなのですがね。このワインも、実はそんな一本です。 かなり詳しい方でも、この造り手の名前は聞き慣れない方がわりと多いのではないでしょうか、買う時まで私も知りませんでしたし。それもそのはず、90年代にdomaineを新しく立ち上げたばかり、2000年代に入ったぐらいから専門誌等から極めて高い評価を得るようになったまだ歴史の浅い造り手で、生産量も年産1万〜1万5千本程度とかなり小規模にしか生産されてないということもあり、日本の国内であまりたくさんは流通していないようなのです。 さてそれでは。品種はシュナン・ブラン100%、黄金色の液体がグラスにキラキラと輝いています。その色を見て濃いな、これはと直観したのですが、実際に飲んでみると完熟した果実の凝縮感がすごい。適度な酸味もあって、今飲んでも十分に美味いんだけど、10年ぐらいは寝かせておいてもきれいに熟成してくれそうです。んー、この感じはブルゴーニュ白の完熟を待って収穫した、ピュリニー辺りのワインにわりと似てるかな。辛口で濃厚で。 実はですね。昨日、先日のお礼にとChristian Constantのチョコレートなんぞを貰ってしまったわけなのですよ。なんという素敵なセンスでしょう。感涙であります。それで、先程のワインと合わせてみたりなんかしちゃったりして。わりと大人な、適度な甘さのチョコレートと濃い〜いシュナン・ブランの組み合わせは反則気味なぐらいにGood。超Good。こりゃ当分、止めらんないな。 Christian Constant http://www.christianconstant.fr/

Elliott ErwittのParis

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銀座にパリが出現。今、CHANEL NEXUS HALLにてElliott Erwittの写真展が開催されておりまして、今月の29日までなので行ってきました。まあ、文句なしに現代における生けるLegendの1人です。行かないわけにはいかないでしょう。内容としては実にパリらしい、人は踊り犬は跳ねる、まさにパリでありました。としか言いようがないかな(笑)行って損はないと思いますがね、無料ですし。シャネルの銀座店の中にあるので若干入りにくい(Karl Lagerfeldは心の底から尊敬しますが、普段の私にとってはどう考えても用のない店)ですが、充実した展示に満足いたしました。Magnumのメンバーの技量はやはり別格です。見ていない人は、問答無用にとっとと見に行くべしです。 PARIS SERA TOUJOURS PARIS !  エリオット アーウィットが見つめたパリ http://www.chanel-ginza.com/nexushall/2012/erwitt/

Underrated Silence

http://shop.tapeterecords.com/bureau-b/ulrich-schnauss-mark-peters-underrated-silence-923.html 数日前に届いた、Ulrich Schnaussの新譜。印象としては前よりややアンビエント寄りかな? なので、一聴した段階ではStarsとかに比べるとインパクトがイマイチかなあと思いましたが、酒飲んで適度に酩酊しつつ聴くと実に良い、という結論に至ったのでした。

SAINT-AUBIN LES PITANGERETS 1er Cru

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2009年ブルゴーニュ赤(とくにボーヌ)は本当にハズレなしですな。Louis Carillonは白で有名な造り手ですけれど、ヴィンテージの所為か、わりと濃い目な造り。開けたては、そうねえ、梅シソ昆布みたいな香り? 口に含むと3000円代にして今飲んで抜群の旨味。本来、1erでもこれぐらいで飲めるのがまともな市場価格という気がしないでもないですが。2009ってブルゴーニュは全体的に酸がないんで、こことかMarsannayみたいな割安で普段酸味の強過ぎな地域は本当に安くて飲んで損なしな印象。逆に酸が少ない分、長期の熟成には耐えないと思われるので09は特級クラスでも5年以内ぐらいを目安にさっさと飲んでしまった方がいいのかもしれません。なんかルイ・カリヨンとしてリリースされるのはラストのヴィンテージらしいのですが、長い歴史を考えると、それはちょっと勿体無くはないかという気がします。さて、ジビエ買ってこよ〜っと。

Lighthouse

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今更ですがこれホントすごいですねー。溢れんばかりの光が見える声。バックには完璧に構築された音楽。正直、彼女がこれ程までの猛烈な才能を持ってるとは思っていなかったな。小林武史の才能でもあるけども。いや康本雅子さんの才能でもあるか。やはり、持っている方たちというのは惹かれ合うもんなんでしょうか。

モン・サン=ミシェルを撮るには?

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昨日、Flickrの方に今まで載せていなかったMont Saint-Michelの写真を載せてみたのですが、閲覧数の上がり方が非常に早い。さすが世界遺産。ただ、すごくフォトジェニックな建造物であるとは思いつつも、画像を検索してみると意外と上手く撮れた写真が少ないということに気が付きました。というのも何分観光地なもので、近接して撮ろうとするとこの写真の手前の辺りにはヨーロッパ各国からの観光客を乗せたツアーバスが大量に並んでおりまして、それを画に入れてしまうと途端に俗っぽくなってしまうわけなのです。藤原新也「俗界富士」的なものを狙うのであればそれもアリといえばアリですが、普通に綺麗に撮ろうとするのならば、大量の車が写っている時点で即座に失敗写真の出来上がりです。で、それらを外して上だけ撮ろうとすると構図的にみんな似たり寄ったりというか、絵葉書ちっくなよくある感じになってしまってイマイチ面白くないというか。だからこれまでは載せていなかったわけなんですけどね。 他に考えられる解決策としては、それらの車が気にならない程度に遠くまで離れて遠景を撮る。実際に広告の写真などで使用される場合にはこの構図が多いように思うのですが、そうすると美しくはあるんですけど建物のディテールがわかんな過ぎて個人の写真としては面白くないかなという気もするんですよね。あとは近辺に宿泊してツアーバスが来る前の早朝に撮るとかいろいろと考えられるわけなんですが、やはり海の中にあってこその奇観ですし、満潮時で、天気が良くて、とかまで考え出すと完全なるベスト・ショットが撮れるタイミングというのはなかなかに限られます。それはただふらっと行っただけでは、確実に撮れません。 いっそあれだな、手前の道路も全部海の中に沈めて「千と千尋の神隠し」の如くに水上をレトロな電車で行ったり来たりするようにすればいいと思う。どうせ奇想を目指すならばそこまでやらなければダメでしょう。なんか昔はそんな感じだったっぽいのですが。あとでかくしたいね、こういう画は。先日発表されたNikon D800とかで撮ればきっと最高ですね。 ついでなので画素数の問題についてちょっと書いておこうかと思うのですが、上の画像は35mmのISO100のネガフィルムで撮ったもので、それを現像と同時に1300万画素相当でフィルムスキャンしてもらったも

SASA BURGER nakameguro

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帰宅途中に、たまには良いではないかということでグルメバーガーを食す。アボカドバーガー、ポテト付きで1000円。 高いと言えば高いけど、確実にそれ以上の満足感はありました。いやあ、それにしても広尾のBurger Maniaといい、神楽坂FIRE HOUSE出身の 方の店は本当に良い仕事をされますなあ。元々は代官山の駅前にあるお店なのだけど、昨年末から中目黒GT内にも出店してます。 やや小振りな店舗ですけれども、こういうものが近場にあると気分は実にハッピーであります。 SASA BURGER nakameguro http://www.hijiriya.co.jp/nakameguro/

Colombia 2011 COE Buenavista

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本日の、っていうか今月のコーヒー。そんなにガブガブ飲む方ではないから、2〜3週に一度しか買いに行かないんですわ。いつも100gで1200円ぐらいの豆を買ってるって言ったら皆、大抵「高い」という返答がきますが、それぐらいなペースなもので、別にいいんじゃないかと思ってます。質は極上ですし。 以前少しだけ触れたフェアトレードの問題点というのはまさにそれで、低品質なものに割高な対価を支払うのであっては結果的に消費する側にとってハッピーではないですし、さらに末端の労働者までその払ったお金が行き渡らない場合も少なからずあるとあっては、双方にとって不幸な働きかけでしかありません。価値のあるものにはきちんとした対価を払い、生産する側がその生産物の価値を高めるべく努力するからこそ健全な経済活動は成り立つのでありまして、多店舗展開しているコーヒーチェーンのやたらローストの強いだけのコーヒーに一杯300円とか出すぐらいならば良い豆を買ってきて自分でハンドドリップで淹れた方が余程に美味くて安上がりだと思うわけなのです。 えーと少し話が逸れましたが、今後もこのブログで取り上げるであろうコーヒー豆に関してましては、とくに断りのなき場合にはこちら http://www.nozycoffee.jp/ で買ったものです。家から自転車で5分ぐらいのところにあるんですが、名店です。この店のおもしろいところはブレンドした豆は全く売っておりません。そのために品種は何で、どこの国の、どこの生産者の、どういった畑で収穫された豆なのかということ次第で味の性格がまるで違い、それぞれの豆の個性が愉しめるわけなのです。ワインに馴染みのある方ならばワインを生産者や畑で選ぶのと感覚的にかなり近いと言えばわかりやすいでしょうか。ブルゴーニュ的というか。 で、この豆なんですが、去年のコロンビアのCup of Excellence17位のBuenavista農園のものです。Cup of Excellenceに関しての解説は面倒なので割愛します。適当に検索してください。ごく簡単に言うなら、チョーいい豆ってことです。しかしあれですね、ワインもなんですが何をして「品質が良い」と言えるのか? そんなもの合わせるものとの相性次第で幾らでも変わってくるじゃないかという気もするわけで、やや訝りつつもいろい

代官山T-SITEでダージリン・ティー

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先日、昨年末に代官山に出来たTSUTAYAへと行ってきたのでレポートすることにしたい。とは言えすでにわりとそこら中のブログに感想が上がっていて、アート本やらおしゃれな文房具やらが揃いまくっててすっごいね、最高! みたいなのは周知であるので、別の切り口から。2階にね、Anjinっていうカフェラウンジ的なやつがありまして、私はそこで紅茶を頼んでみたのでした。 で、メニューからしてiPadですよ。ワインバーとか、わりと内容のよく変わる店舗だとメニューを印刷して入れ替えるのって結構手間ですから、これだとマスターのデータを差し替えればいいだけなんで、そういう場合にわりと合理的かもしれません。グラスシャンパーニュはTaittingerで1500円、ブルゴーニュだとLouis Jadotとかで、まあ無難な感じ。銘柄はちょくちょく入れ替わるんだろうと思うんですけど、つまみもいろいろあるし、ちょっとだけワインを飲みたいとかいったような時に気楽に使うのに良いかも。深夜はチャージも取られるらしいですけどね。 そして何が凄いって、これです。店内に休刊したEsquireの日本版がどうやら全巻揃ってるっぽい。感涙しました。その他にもむか〜し昔のレアな雑誌がズラーっと。平凡パンチとかまで置いてあるんですよ!!  素晴らしい。こんなことが可能だなんて。驚きますね。 棚に感動している間に紅茶が運ばれてきました。2011年のダージリン・ティー、オータムナルです。この茶葉はリーフルから入れているという情報は事前に仕入れていたのですが、コーヒー豆は丸山珈琲から、パンはd'une raretéから、…と書いてあるのを見て吹き出しそうに。どんだけ本気なんすか?(笑)アールグレイやジャスミンティーなども選べますが茶葉の産地や収穫時期までは選べないので、そりゃ専門店には敵いませんけれども、この手のことを知っている方ならわかる通りに気合いの入り方が半端ないです。紅茶はこんな風に、ポットで出してくれて2杯分ぐらいは飲めるので、この空間を考えたら800円ではある意味安いかも? 調べてみたら、どうやらこの店のオペレーションはブルーノートが行っているようです。つまり音楽も最強。あと下の階の書店の写真集の揃いっぷりも笑いますね。こういう店が家から徒歩圏にあるというのは、ああ実にお

FOOD,INC.を観る

FOOD,INC.というドキュメンタリーを見ました。たぶんAndreas Gurskyを意識したような構図を多用したりと、視覚的な点ではよく作られているように思うんですが、肝心の内容が結論から言っちゃうと全然ダメですね、これは。理由は以下に。 「ファストフードが世界を食いつくす」の著者が関わっていて、もうちょっと突っ込んだ内容なのかと思ったんですが、最終的な着地点がオーガニックな、地産の食品を進んで選択しようでは。事はそう単純ではないでしょう。もっと取り上げるべきこと、アメリカ穀倉地帯の地下水の枯渇が懸念されていることや、フェアトレードの問題点なども同時に扱わなければ論外だと思います。この作品の結論では、オーガニックを騙るだけで実際にはそれまでと何も変わらない食物が流通する世界が維持されるだけで、かつ、まるでsustainableではない。 ただ、これを見ればTPPの何が問題か、ということはよくわかると思いますがね。種子ですよ、一番問題なのは。 FOOD,INC. http://www.cinemacafe.net/official/foodinc/

フェルメールとオランダの光について

考えたんですが、ただ映画評やイベントに行ってきた感想を書くだけでは然程におもしろいものにはならないと思う。従って、当ブログにおいては試みとしてなるべく1つの事象に絡めて2つ、3つのことを同時に扱ってみることにする。ただし、そのために即時性が失われてはあまり意味がないものに関しては除く。 先日「フェルメールからのラブレター展」に行ってきました。場所は渋谷、東急Bunkamuraの夕暮れ時。もっとたくさん人が居るかと思ったら、平日の6時も過ぎるとわりと空いてる感じで悪くなかった。美術展の名前からして注目は当然フェルメールなのだけど、多くの人が御存知の通りに彼は極めて寡作な作家であったため、その名前が冠されていようと大抵はオランダ・フランドル絵画回顧展の様相を呈す。今回も勿論そのパターンに違わず、彼の作品は3点のみ。 しかし、その3点は彼の作品のうちでもいずれも確実に上位に入ると思われる作品であり、中でも「手紙を読む青衣の女」はかなり大規模な修復が行われた後の世界初公開であるとのこと。会場内でもその修復の過程に関して文章での解説がなされていました。確かに修復前の画像と見比べるとフェルメールらしいあの青色が蘇っているように見えます。3点のサイズはいずれもやや小さめ。でもやっぱり作品の質は大きさではないんだよな。よいよい。 あとフェルメールも良いのだけれど、今回は他の来日作品にも秀作が多い印象。その中でもとくに目を引かれたのが父子で画家なFrans van Mierisの衣服の表現。ネットで検索してみればいろいろ見られるけれども、纏っている服の光沢の処理が、もうスンゴい。巧過ぎ。これは実際に見て損なしだと思う。 それに関連して家で「オランダの光」というドキュメンタリー映画をDVDで見る。オランダには独特の「光」がかつて存在し、それが前述のフェルメールやレンブラントといった作家が作品を生み出す源泉となった、…が、かのJoseph Beuysが言うには1900年代のオランダ北西部のアイセル湖の干拓によりそれは失われてしまったんやで、との内容。ふむふむ。湖面が光を反射して地上の鏡のように作用し、独特の「光」を生み出していたと言うのだ。まあ科学的には何の根拠もない発言であるわけですが。ボイスは直観の人だしな。 確かに、オランダの芸術の中に独特の光の存在を

コトリンゴ

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彼女の音楽を初めに聞いたのは去年の秋、千葉に向かう車の中だった。 ラジオから流れてきたその音楽は、ほんの数秒聞いただけで「なんだこれは」と、そんな幸福な出逢い方をした。 なんというか、これ程までに圧倒的な才能を現前させられると、語ることなどは何もない。思い思いに癒されればそれで良い。 音楽を生業として生きることが難しくなっている時代ですが、こういう人が出てくるうちは、きっとまだ大丈夫。 3/14にミニアルバム「La mémoire de mon bandwagon」が出るらしい。実に楽しみです。 コトリンゴ http://www.10do.jp/kotringo_new/

裸のゴヤ

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上野まで行って見てきました。ゴヤを。目玉は見ての通り着エロの、じゃなかった「着衣のマハ」です。正月に行けば空いてるんじゃないかという淡い期待もありつつ行ってみたら、まあ人が少ないということもなかったけれどごった返しているというレベルでもなく、鑑賞には問題のない程度。人の後ろ頭しか見えないとか最悪ですもんね。いや、いい絵でしたよ。別に裸体じゃなくても滑らかな布の感触が伝わってきそうな流麗な筆致、好きですけどねえ。裸体と二枚並んだところを観に、いつかプラド美術館まで行ければいいんですけど。あとゴヤはやっぱり晩年のアレがないとね。完全狂気のあの黒い塊があまり感じられなかったのがやや残念というか。マドリードまで直接行くしかないかな。 しかし、今さら知ったんですが今年の6月13日から国立西洋美術館の「ベルリン国立美術館展」で「真珠の首飾りの少女」が初来日、さらには6月30日からはオランダのマウリッツハイス王立美術館の改修に伴い東京都美術館にて同美術館展が開催され、それにはなんとあの「真珠の耳飾りの少女」が! 今現在、渋谷の東急Bunkamuraに3点来ているのを考えると、ほんと今年はフェルメールづくしですねー。「耳飾り」の方は来場者が100万人を越えるでしょうね、おそらく。猛烈な人混みを想像するにやや微妙ですが、今から楽しみですな。 プラド美術館所蔵 ゴヤ 光と影 http://www.goya2011.com/ ベルリン国立美術館展 http://www.berlin2012.jp/ マウリッツハイス美術館展 http://www.asahi.com/mauritshuis2012/ フェルメールからのラブレター展 http://vermeer-message.com/

GEVREY CHAMBERTIN CUVÉE V.V. 2005

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2012年一本目のワインはこれでした。造り手はPhilippe Charlopin-Parizot。いやね、実家からおせちが届きまして。泡にしようかな〜とも思ったんですが、いや、ここは赤、それもブルゴーニュだろーと思ってセラーの中から選んだのがこれで。知らない人のために一応書いておくと、V.V.というのはVieilles Vignes(ヴィエイユ・ヴィーニュ)の略でフランス語で古木のことです。一般的にはある程度樹齢の高い木の方が質の高いワインができるとされているのですが、歳がいくと収量も当然減ってきますので同時に稀少性も上がってくるわけです。 さて、パリゾでございますよ。色はとても濃いガーネット・ルージュ。2005年は長命なヴィンテージだしちょい早いかなーという気がしつつも、シャルロパンだしわりと早飲みでもイケるだろうと思い抜栓。案の定、開けた直後は少し強い感じではありましたが、30分もすると程好い感じに。そんなにすごく高いワインではないけれど、グランクリュですよって言って出されたらたぶん信じちゃうな。香りが華やか〜なタンニンしっかりめの頑強な造り。やっぱりあれだなあ、こんなの飲んじゃったら他の地方のピノ・ノワールはブルゴーニュのそれにはどう頑張っても勝てないわ、と思ってしまった。この享楽の香りが止められません。いやはや、ごちそうさまでした。

これは大変だ

http://www.fdkamiya.com/ 中目黒のBuppaがデリを始めたらしい。青葉台のドンキのちょっと先あたりの池尻寄りの場所だけれども、これでワインのつまみには困らない!

ブログはじめます

2012年元旦であります。以前からあまりにもいろんな人から「ブログやれ」と言われ続けていたのですが、別にプライベートな情報をpublicにしたいとも思わず、普段出入りしているところに行きにくくなったりはしないかとか思ったりもして、厭ですわ、そんなの。と思っていたのですが、まあなんか文章というのは定期的にきちんと読まれるということを意識して書かねばノーミソが錆び付いてしまうというようなことも同時に思っていたりして、新年の勢いに乗って(調子に乗ってとも言いますが)ちょっと試しにやってみようかという気になったわけなのです。 何も書きたいことがないというわけではないのです。ただ、ペンは剣より強し、との成句もあるように、言葉というものは実に恐ろしいもので、時にはたった一言で人が殺せます。少なくとも私はそう思っています。如何せん、わりと書きたいことを書いてしまう人間なので、ブログみたいなものをやるのはいろいろと危険も伴うと思ったのです。まあ、実際は純朴なる子羊たる私なんざがグダグダ管巻いたトコロで世の中どうなるわけでもなし、そのただの無為徒労っぷりがヤだってのもあるんですけどね、ええ。 単なる飯ブログとかにしたいとは思いません。基本的には気楽にワインとかフレンチとか本とか哲学とか映画とか音楽とか美術とかについてつれづれなるままに書くことになるとは思いますが、たまには多少シリアスなことも書いたりすると思いますし、多少の反発を招くこともあるかもしれません。でも、立場が違えば意見も違って当たり前ですし、それでいいと思っています。その点だけは予め御理解いただきたいと思います。 タイトルすらいまだに思案中ですし、あまり自分からやりたいという感じでもないので、反応が良ければ続くかもしれませんし、反応が悪ければ続かないかもしれません。そんな感じですが半ば見切り発車な感じで始めたいと思います。これを読まれている方の一時の退屈凌ぎにでもなれば幸いです。